
注文住宅を建てる際は、安心して長く住める家にしたいと考える人が多いでしょう。そんなニーズに応えるのが、長期優良住宅です。長期優良住宅は耐久性や省エネ性に優れており、維持管理の手間やコストも抑えられます。この記事では、長期優良住宅の特徴や、長期優良住宅を建てるメリット・デメリットについてくわしく解説します。
長期優良住宅とは
長期優良住宅とは、長く安心して快適に暮らせる家のことをいいます。2009年にスタートし、長期優良住宅認定制度の基準をクリアした家を、長期優良住宅と呼びます。耐震性
長期優良住宅では、地震への備えが重視され、耐震等級2以上の基準を満たす必要があります。耐震等級2以上というのは、一般的な建築基準よりも高い耐震性能であり、万が一の災害時でも倒壊しにくく安心して暮らせる住まいが実現します。省エネ性
次世代省エネルギー基準に適合するために必要な断熱性能を確保している必要があります。省エネ性対策等級は4以上です。冷暖房にかかるエネルギーを減らすためには、断熱性や機密性能の高さが求められます。効率的な設備機器を導入することも評価対象となり、光熱費の削減につながるでしょう。居住環境
良好な景観の形成や、居住環境の維持および向上に配慮されていることが求められます。住み心地のよさも大事な基準となり、日当たりや風通しに配慮された設計に加え、周辺環境とのバランスも必要です。良好な居住環境を保つことで、暮らしやすく長く安心して住み続けられる家になります。長期優良住宅を建てるメリット
長期優良住宅を建てるメリットについて紹介します。住宅ローン控除での優遇
長期優良住宅を新築したり購入したりする場合、住宅ローン控除で大きなメリットがあります。住宅ローン控除は、年末時点のローン残高0.7%が13年間にわたり、所得税や住民税から差し引かれる制度です。この住宅ローン控除が長期優良住宅の場合、控除額が最大455万円となり、対象となる住宅の中でもっとも高い金額になります。
登録免許税の税率が引き下げられる
所有権保存登記や所有権移転登記に必要な、登記免許税の税率が引き下げられます。一般的な住宅は、保存登記0.15%、移転登記0.3%に対し、長期優良住宅は、保存登記0.1%、移転登記0.2%となり、それぞれ減税措置を受けられます。住宅ローンが低金利になる
住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供するフラット35は、良質な住宅ならば、さらに低い金利が一定期間適用されるフラット35Sと、維持管理に配慮した住宅に適用されるフラット35維持保全型が併用できます。そのため最初の5年間は金利が年0.75%の引き下げられるという大きなメリットがあります。地震保険料が割引される
長期優良住宅は、地震保険料の割引対象になります。認定を受けるには、耐震性能に関する基準を満たす基準があり、多くの住宅が耐震等級2以上と評価されます。そのため保険料が軽減される制度を利用することが可能です。耐震等級2以上の場合は20%割引され、さらに耐震性が高い耐震等級3に該当すると、最大30%の割引が適用される場合があります。
長期優良住宅にデメリットはある?
長期優良住宅は多くのメリットがありますが、デメリットがあることも理解しておかなくてはいけません。長期優良住宅を建てる際に考えられるデメリットについて、くわしく説明します。手間がかかる
長期優良住宅の認定を受けるには、着工前に申請を行う必要があります。家が完成したあとも定期的な点検や、必要に応じた修繕を実施し、その記録を作成および保存しなくてはいけません。長期優良住宅は、認定を受けたあとにも住宅の維持保全のために手間がかかることを理解しておかなくてはいけません。費用がかかる
認定を受けるためには、長期使用構造等確認や認定手数料などに5~6万円程度かかります。さらに耐久性や耐熱性を高めるためにも費用がかかるでしょう。材質や建築構造に加え、後期も長くなることによる人件費の増加も考えられます。建設会社によって標準仕様は異なりますが、一般的に長期優良住宅の認定基準を満たすには、通常の1.2~1.3倍程度になることを理解しておきましょう。
着工に時間がかかる
長期優良住宅を建てる場合、工事を始める前に、建築確認とは別に所管の自治体から長期優良住宅の認定を受けなければいけません。そのため、着工までに通常の住宅より1週間〜1か月、場合によってはさらに長い時間がかかることがあります。書類の準備や申請をスムーズ進められると、全体のスケジュールを早められる場合もあります。また長期優良住宅の申請に慣れた住宅会社を選ぶことで、手続きがよりスムーズに進められるでしょう。